2018年11月11日日曜日

現代都市政策研究会2018年度高知合宿報告


都市研高知合宿報告

高知合宿を11月2日()~4日()の2泊3日で行いました。

参加者は4名。地元の石川貴洋さん(NPO法人環境の杜こうち・元ねりままちづくりセンター所長)に車で2日間、車でご案内頂き、とても充実した合宿となりました。石川さんには感謝です。



行程と訪問先

行程と訪問先は以下の通りです。

.11月2日()

羽田発8:35分(ANA561便)→高知竜馬空港着10:05分→NPO法人アテラーノ旭ヒヤリング上町食堂で昼食石川さんのNPO法人環境の杜こうちの事務所に立ち寄り高知市市民活動サポートセンターヒヤリング桂浜の散策途中津波避難施設見学市内に戻り藁倉庫をリノベーションした藁工を見学高知パレスホテル着市内「旬菜やあんぐら」にて懇親会(石川さんご夫妻、アテラーノ旭の総務室 渡辺克志さん、環境省四国環境パートナーシップオフィス内田洋子さんの8名)

.11月3日()

早朝、路面電車で港町散策高知パレスホテル9:00発、午前中、環境省四国環境パートナーシップオフィス内田洋子さんの案内で物部川流域の環境保全活動()を視察(物部川杉田ダム、田んぼへの利水の状況、鹿の食害、河口の物部川が閉河した状況と工事で土砂を取り除いている現場など)→土佐山田ショッピングセンター「バリューノア」へ立ち寄り(地産地消に熱心で品揃えも豊富、物部川の環境保全活動にも寄与しているスーパーマーケット)→昼食「湖畔游」内田さんと分かれて、午後は仁淀ブルーと呼ばれる仁淀川流域へ途中、佐川のまち歩き(酒蔵の並ぶ街並みがあります)→沈下橋を見学屋形船乗船市内に戻り、高知パレスホテル着懇親会。そしてホテルへ戻り解散。

.11月4日()

高知パレスホテル8:00発、追手筋で開かれる日曜市を見物しながら高知城へ高知パレスホテルに戻り、荷物を受け取り、バスで高知竜馬空港へ移動飛行場内レストランで昼食高知竜馬空港発13:35発(ANA566便)→羽田着14:50着 解散



訪問先ヒヤリング概要と感想

.NPO法人アテラーノ旭

(1)ヒヤリング者 理事長 山中雅子さん、総務室 渡辺克志さん 

(2)アテラーノ旭の事業概要http://www.aterano.net/

「アテラーノ」とは土佐弁で「わたしたちの」という意味で、地域で安心してい暮らせるように、高知市西部で配食サービス、暮らしの相談、訪問助け合い、まちのお茶の間、地域づくりを行っている団体です。

(3)ヒヤリングでは、アテラーノ旭が、旭まちの銭湯が廃業をきっかけに、存続する会の発足、結果として旭入浴デイサービスの実現、アテラーノ旭の設立、緊急雇用対策が目的でとして高知市から「あったかふれあい事業」を受託。アテラーノ旭と並行して「アテラーノ旭手だすけ事業部」を設立し、事業を拡大。「あったかふれあい事業」廃止とともに、自立運営のために不採算部門の廃止や売り上げを伸ばす活動を行い、現在に至っているという説明がありました。

(4)質疑の中では、理事長の山中さんは、昭和47年に立ち上げた無認可保育園の園長を25年勤め、アテラーノ旭の活動には、保育園を卒業した子どもたちが応援してくれたこと、総務室の渡辺さんはまちづくりの仕事をしており、アテラーノ旭の活動を支えたこと。地域包括のケアマネとは、配食サービスを通じて日常の気づきを伝えていること。昼夜で140食の配食。車の経費もかさむ。使い捨ての容器は使わず、風呂敷に弁当を包んで配食。財政的には厳しいが高齢者の立場を考えると弁当の値上げはできない。やっていてよかったことは、アテラーノ旭に関わってくれる人が働いて元気になってくれていること。問題解決をするには、色々な人がつながることが大事。アテラーノ旭は介護保険で手の届かない部分をカバーしている。我々が動きやすいように自治体は条件を整えてほしいとのことでした。

(5)地域から銭湯が無くなることから活動がはじまり、行政とかけあいながら事業を展開し、さらに助成金が打ち切られることで事業の見直しを図りながらも配食サービスの質を落とさない(手間をいとわない)ず、また見守り活動等にもつなげ、地域住民が福祉サービスの狭間からこぼれ落ちない活動をされているなど、活動への思いとそのご苦労には、頭が下がる思いで伺いました。



.高知市市民活動サポートセンター

(1)ヒヤリング者 認定非営利活動法人 NPO高知市民会議 事務局長 田中佐和子さん

(2)高知市市民活動サポートセンターの事業概要http://www.kochi-saposen.net/

(3)ヒヤリングでは、サポートセンターは1999年4月に設立されていること。公設民営でオープンし、運営はNPO高知市民会議が担い、2006年からは指定管理者として運営しているとのこと。住民自治、市民自治を担う市民が育ち、自主・自立のまちづくりに寄与することを目指し、事業としては、相談・アドバイス事業、広報・啓発事業、人材育成事業、調査研究事業、まちづくりファンドの運営などを行っていること。運営は、月一回の理事会とサポートセンター運営委員会で行われ、事業は担当理事と事務局で企画、実施にあたっては、会員や一般から運営スタッフを募集し進めているとのことでした。

(4)高知市では、市民参加条例の先駆けとして「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例」があり、このセンターも条例の根拠に基づき設立されたものであり、また、その条例には、市の役割として、「市は市民等とパートナーシップを築いて地域のまちづくりを進めるため、市民等の意見を反映してコミュニティ計画を策定する」とされ、また、条例には、条例の見守り委員会の設置も規定されているため、自ずとコミュニティ計画や見守り委員会などの運用状況等に話題が向きました。

(5)田中さん自身は、県の初めての支援員制度で高知市に出向、「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例」の制定にもかかわったとのこと。今は県職員を辞め、NPO高知市民会議の職員になっているとのこと。

(6)田中さんご自身が県職員として高知市に来られ、また、今は事務局長として務められ(現職で県職員を辞めるのはすごい勇気のいることだと思います)、立場の違いから様々なことでご苦労されながら仕事されているお話を伺い、   様々な立場の違いを経験をされているからこそ、物事を多面的に見られる存在になっているのではないかと感じさせられました。また、先進的に取り組まれた、市民と行政のパートナーシップ条例についても、長く運用される中で、行政の姿勢がその条例の活かし方に変化を与えることも学ばせてもらいました。

.物部川流域環境保全活動

(1)視察内容 杉田ダム、田んぼへの利水の状況、鹿の食害、河口の物部川が閉河した状況と工事で土砂を取り除いている現場、土佐山田ショッピングセンター「バリューノア」 

(2)案内者 環境省四国環境パートナーシップオフィス内田洋子さん

(3)環境省四国環境パートナーシップオフィスhttp://4epo.jp/ 四国EPOは環境省がNPOに管理運営等委託を行い、協働で運営されています。

(4)高知には、四万十川、仁淀川、物部川の3河川があります。物部川には3つのダムや利水等の関係もあり、川の流れが緩く、そのため台風などの影響で海に流れ込む河口が閉河してしまい流れが止まり、鮎が遡上できない環境にもなってしまっています。内田さん曰く、物部川の環境保全活動に関わっている方からは、四万十川、仁淀川は川がきれいで優等生。出来の悪い物部川ほどかわいいとのこと。

(5)ダムの建設、川の取水、河口の閉河、森林の鹿の害など様々な要因が河川環境に大きな影響を与えていること。だからこそ様々な団体がネットワークを組んで問題に取り組んでいかなければならないことが理解でき、また、土佐山田ショッピングセンターの取り組み等、地域には様々な方がおり、地域を支えていることも発見させていただきました


現代都市政策研究会2018年度高知合宿報告


都市研高知合宿報告

高知合宿を11月2日()~4日()の2泊3日で行いました。

参加者は4名。地元の石川貴洋さん(NPO法人環境の杜こうち・元ねりままちづくりセンター所長)に車で2日間、車でご案内頂き、とても充実した合宿となりました。石川さんには感謝です。



行程と訪問先

行程と訪問先は以下の通りです。

.11月2日()

羽田発8:35分(ANA561便)→高知竜馬空港着10:05分→NPO法人アテラーノ旭ヒヤリング上町食堂で昼食石川さんのNPO法人環境の杜こうちの事務所に立ち寄り高知市市民活動サポートセンターヒヤリング桂浜の散策途中津波避難施設見学市内に戻り藁倉庫をリノベーションした藁工を見学高知パレスホテル着市内「旬菜やあんぐら」にて懇親会(石川さんご夫妻、アテラーノ旭の総務室 渡辺克志さん、環境省四国環境パートナーシップオフィス内田洋子さんの8名)

.11月3日()

早朝、路面電車で港町散策高知パレスホテル9:00発、午前中、環境省四国環境パートナーシップオフィス内田洋子さんの案内で物部川流域の環境保全活動()を視察(物部川杉田ダム、田んぼへの利水の状況、鹿の食害、河口の物部川が閉河した状況と工事で土砂を取り除いている現場など)→土佐山田ショッピングセンター「バリューノア」へ立ち寄り(地産地消に熱心で品揃えも豊富、物部川の環境保全活動にも寄与しているスーパーマーケット)→昼食「湖畔游」内田さんと分かれて、午後は仁淀ブルーと呼ばれる仁淀川流域へ途中、佐川のまち歩き(酒蔵の並ぶ街並みがあります)→沈下橋を見学屋形船乗船市内に戻り、高知パレスホテル着懇親会。そしてホテルへ戻り解散。

.11月4日()

高知パレスホテル8:00発、追手筋で開かれる日曜市を見物しながら高知城へ高知パレスホテルに戻り、荷物を受け取り、バスで高知竜馬空港へ移動飛行場内レストランで昼食高知竜馬空港発13:35発(ANA566便)→羽田着14:50着 解散



訪問先ヒヤリング概要と感想

.NPO法人アテラーノ旭

(1)ヒヤリング者 理事長 山中雅子さん、総務室 渡辺克志さん 

(2)アテラーノ旭の事業概要http://www.aterano.net/

「アテラーノ」とは土佐弁で「わたしたちの」という意味で、地域で安心してい暮らせるように、高知市西部で配食サービス、暮らしの相談、訪問助け合い、まちのお茶の間、地域づくりを行っている団体です。

(3)ヒヤリングでは、アテラーノ旭が、旭まちの銭湯が廃業をきっかけに、存続する会の発足、結果として旭入浴デイサービスの実現、アテラーノ旭の設立、緊急雇用対策が目的でとして高知市から「あったかふれあい事業」を受託。アテラーノ旭と並行して「アテラーノ旭手だすけ事業部」を設立し、事業を拡大。「あったかふれあい事業」廃止とともに、自立運営のために不採算部門の廃止や売り上げを伸ばす活動を行い、現在に至っているという説明がありました。

(4)質疑の中では、理事長の山中さんは、昭和47年に立ち上げた無認可保育園の園長を25年勤め、アテラーノ旭の活動には、保育園を卒業した子どもたちが応援してくれたこと、総務室の渡辺さんはまちづくりの仕事をしており、アテラーノ旭の活動を支えたこと。地域包括のケアマネとは、配食サービスを通じて日常の気づきを伝えていること。昼夜で140食の配食。車の経費もかさむ。使い捨ての容器は使わず、風呂敷に弁当を包んで配食。財政的には厳しいが高齢者の立場を考えると弁当の値上げはできない。やっていてよかったことは、アテラーノ旭に関わってくれる人が働いて元気になってくれていること。問題解決をするには、色々な人がつながることが大事。アテラーノ旭は介護保険で手の届かない部分をカバーしている。我々が動きやすいように自治体は条件を整えてほしいとのことでした。

(5)地域から銭湯が無くなることから活動がはじまり、行政とかけあいながら事業を展開し、さらに助成金が打ち切られることで事業の見直しを図りながらも配食サービスの質を落とさない(手間をいとわない)ず、また見守り活動等にもつなげ、地域住民が福祉サービスの狭間からこぼれ落ちない活動をされているなど、活動への思いとそのご苦労には、頭が下がる思いで伺いました。



.高知市市民活動サポートセンター

(1)ヒヤリング者 認定非営利活動法人 NPO高知市民会議 事務局長 田中佐和子さん

(2)高知市市民活動サポートセンターの事業概要http://www.kochi-saposen.net/

(3)ヒヤリングでは、サポートセンターは1999年4月に設立されていること。公設民営でオープンし、運営はNPO高知市民会議が担い、2006年からは指定管理者として運営しているとのこと。住民自治、市民自治を担う市民が育ち、自主・自立のまちづくりに寄与することを目指し、事業としては、相談・アドバイス事業、広報・啓発事業、人材育成事業、調査研究事業、まちづくりファンドの運営などを行っていること。運営は、月一回の理事会とサポートセンター運営委員会で行われ、事業は担当理事と事務局で企画、実施にあたっては、会員や一般から運営スタッフを募集し進めているとのことでした。

(4)高知市では、市民参加条例の先駆けとして「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例」があり、このセンターも条例の根拠に基づき設立されたものであり、また、その条例には、市の役割として、「市は市民等とパートナーシップを築いて地域のまちづくりを進めるため、市民等の意見を反映してコミュニティ計画を策定する」とされ、また、条例には、条例の見守り委員会の設置も規定されているため、自ずとコミュニティ計画や見守り委員会などの運用状況等に話題が向きました。

(5)田中さん自身は、県の初めての支援員制度で高知市に出向、「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例」の制定にもかかわったとのこと。今は県職員を辞め、NPO高知市民会議の職員になっているとのこと。

(6)田中さんご自身が県職員として高知市に来られ、また、今は事務局長として務められ(現職で県職員を辞めるのはすごい勇気のいることだと思います)、立場の違いから様々なことでご苦労されながら仕事されているお話を伺い、   様々な立場の違いを経験をされているからこそ、物事を多面的に見られる存在になっているのではないかと感じさせられました。また、先進的に取り組まれた、市民と行政のパートナーシップ条例についても、長く運用される中で、行政の姿勢がその条例の活かし方に変化を与えることも学ばせてもらいました。

.物部川流域環境保全活動

(1)視察内容 杉田ダム、田んぼへの利水の状況、鹿の食害、河口の物部川が閉河した状況と工事で土砂を取り除いている現場、土佐山田ショッピングセンター「バリューノア」 

(2)案内者 環境省四国環境パートナーシップオフィス内田洋子さん

(3)環境省四国環境パートナーシップオフィスhttp://4epo.jp/ 四国EPOは環境省がNPOに管理運営等委託を行い、協働で運営されています。

(4)高知には、四万十川、仁淀川、物部川の3河川があります。物部川には3つのダムや利水等の関係もあり、川の流れが緩く、そのため台風などの影響で海に流れ込む河口が閉河してしまい流れが止まり、鮎が遡上できない環境にもなってしまっています。内田さん曰く、物部川の環境保全活動に関わっている方からは、四万十川、仁淀川は川がきれいで優等生。出来の悪い物部川ほどかわいいとのこと。

(5)ダムの建設、川の取水、河口の閉河、森林の鹿の害など様々な要因が河川環境に大きな影響を与えていること。だからこそ様々な団体がネットワークを組んで問題に取り組んでいかなければならないことが理解でき、また、土佐山田ショッピングセンターの取り組み等、地域には様々な方がおり、地域を支えていることも発見させていただきました


現代都市政策研究会2018年9月例会感想


医療・介護の連携の問題から、自治体の課題を考えるきっかけに


                                   I .   T.

・現場は知らない2025年問題

 今回、古都さんから冒頭で団塊の世代800万人が75歳の後期高齢者になる2025年以降は、より医療・介護の需要が増してくるという、あまり聞きたくないような現実を聞きました。医療や介護の現場の職員・自治体職員は、薄々感じてはいても、現在でさえ日々の目の前の課題に対応するので精一杯で、余裕のない状態なのが現実ではと思います。ただ、2025年はあと6年ほど。あっという間に来てしまう時間です。

・自治体が今後求められる課題は

 古都さんからは、医療・介護の需要増加に対して基本の視点や様々な解決案も提示していただきました。特に印象的だったのは、「介護や医療の利用者の立場から、利用者の生活全般をどう見ていくかという視点が重要」ということでした。医療費の削減のためとはいえ、利用者にとっては本来当たり前のことが、結局は大事なことなのです。

 振り返って自治体はどうでしょうか。古都さんによれば、自治体職員は以前にもまして地域での調整役になることが求められるとのこと。その話を聞いて、例えば自分の所属する自治体の実情を考えてみると、まだ多くの課題があるなと改めて感じました。医療・介護の需要の増加はもう待ったなしです。利用者の生活全般を考慮しつつ、地域での調整役になれる力量を持った職員が現状より少しでも増えるよう、各自治体ができることからやっていくべきと思いました。

現代都市政策研究会2018年9月例会感想


医療・介護の連携の問題から、自治体の課題を考えるきっかけに


                                   I .   T.

・現場は知らない2025年問題

 今回、古都さんから冒頭で団塊の世代800万人が75歳の後期高齢者になる2025年以降は、より医療・介護の需要が増してくるという、あまり聞きたくないような現実を聞きました。医療や介護の現場の職員・自治体職員は、薄々感じてはいても、現在でさえ日々の目の前の課題に対応するので精一杯で、余裕のない状態なのが現実ではと思います。ただ、2025年はあと6年ほど。あっという間に来てしまう時間です。

・自治体が今後求められる課題は

 古都さんからは、医療・介護の需要増加に対して基本の視点や様々な解決案も提示していただきました。特に印象的だったのは、「介護や医療の利用者の立場から、利用者の生活全般をどう見ていくかという視点が重要」ということでした。医療費の削減のためとはいえ、利用者にとっては本来当たり前のことが、結局は大事なことなのです。

 振り返って自治体はどうでしょうか。古都さんによれば、自治体職員は以前にもまして地域での調整役になることが求められるとのこと。その話を聞いて、例えば自分の所属する自治体の実情を考えてみると、まだ多くの課題があるなと改めて感じました。医療・介護の需要の増加はもう待ったなしです。利用者の生活全般を考慮しつつ、地域での調整役になれる力量を持った職員が現状より少しでも増えるよう、各自治体ができることからやっていくべきと思いました。