2018年9月26日水曜日

現代都市政策研究会2018年7月例会感想


一筋縄ではいかない現実

T.     M.    



都市研7月例会では、『いわゆる「ごみ屋敷条例」の制定・運用の実態と課題~自治体のごみ屋敷対策の動向から~』をテーマに、出石 稔さん(関東学院大学法学部教授・関東学院大学副学長)にお話を伺いました。

出石さんからは、「ごみ屋敷」という言葉は百科事典にも載るようになり、最近の社会現象になっている。ごみ屋敷問題は本人の意思とは別に、(1)近隣住民への影響など住環境の問題(2)防犯・防災上の問題(3)景観破壊などまちづくり上の問題などから条例を制定する立法事実が存在し、条例による財産権の制限を合憲とした「奈良県ため池条例」判決を契機に、ごみ屋敷問題についても大都市を中心に条例が制定され、対策が取られるようになった。条例制定にあたっては、京都市や横浜市のように、福祉的な視点を条例に加え、運用において成果が出てきている自治体もあるとのことでした。

私自身は、現在、社会福祉協議会に籍を置いていることから、地域福祉の観点から、「ごみ屋敷問題は制度の狭間の問題」、個別支援だけではなくCSW(コミュニティー・ソシャー・ワーカー)が地域住民も巻き込んで、どう地域の問題として解決を図るかが大きな課題と捉えていました。

出石さんも、「ごみ屋敷問題は、法の空間にあって制度の狭間にある問題」であり、ごみ屋敷条例(対策)の展望として、(1)適正な管理と(2)支援等における福祉的対応(3)地域との協働の三位一体取り組みが不可欠と指摘されていたことに、共感を覚えました。

とはいえ、今年4月に施行された横須賀市のごみ屋敷条例に基づき、8月に県内初の行政代執行が行われたというニュースに触れ、一筋縄ではいかない問題でもあるなとも感じたところです。

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