2019年5月24日金曜日

現代都市政策研究会2019年4月例会感想


4月例会「春の小網代の森を歩く」に参加して

A.     K.



僕の仕事のひとつに、中学・高校受験の国語の指導があり、教えている生徒の模試や入試の説明文で良く出るテーマのひとつに「里山」がある。「里山」をテーマとした説明文の多くは、かつては薪を入手したり、炭を焼くために人々は日常的に山に入り、山の手入れをしていた。しかし、その後生活は変わり、薪や炭が必要ではなくなり人々は山を放置した結果、山は荒れ果ててしまった。このように里山の自然は人々が山を手入れしていて初めて成り立っていたものであり、今日人々が自然との共生を考えるのならば、里山の復活は重要であると同時に難しい問題でもある、といったものである。

今回案内をしていただいた「小網代野外調整活動会議」のスタッフの佐藤さんは、繰り返し「人の手を入れなければこのような自然を保つことができない」と言われていた。確かに途中の「えのきテラス」にあった、この地域が買い取られた当時の写真は、一面大人の背よりもはるかに高い笹に埋め尽くされていた。そのような地を「開発」することで初めて現在のような多様性のある自然になっているという。しかしその「開発」は、新しく植物を植えるというものではなく、笹を刈ったり、川の支流を作って水を廻したり、川に小さな堰を作り、周辺の土地を湿らせるという植物生育のための基礎的な条件を整えるものであった。

もちろん笹の拡大も自然の営みであり、そこに人間の手を加えるのは、問題があるのではないか、という意見があるかもしれない。確かに自然を絶対視する場合、こういった議論も成り立つと思う。しかし人間が存在する限り、自然に対して何らかの影響を与えてしまうものであると考えたならば、私たちは自然とのよりよい「共生」を目指していくしかないのではないだろうか。そして今日型の「共生」のあり方として「小網代の森」への人びとの関わり方があるのではないだろうか、そんなことを考えさせられた今回の企画だった。多分緑地の保全についての関心がある人以外は、僕が現在住んでいる名古屋で「小網代の森」について知っている人はあまりいないと思う。三浦半島の三崎というとどうしても「まぐろ」のイメージが先立つが、「森」もあることを少しでも伝えていきたいと思う。



最後になりましたが、久しぶりの例会の参加でしたが、みなさんとお会いできて良かったです。まだ企画者の山田さんとは多分20年ぶり位に再会できて良かったです。(なお原稿が遅くなりすみませんでした。)

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